「心霊研究」1998年4,5月号掲載




 

 

          類魂論の考察



 

 

【2】モデル化に当っての基本的考察


*数学の理論を用いる事について*


 前述したように、心霊にカタストロフィー理論が使えるのではないかということが判りましたが、それにはいくつかの重要な考察が必要となります。

本論の目的は、霊とは何かを言明することにあります。一般に霊魂の不滅という問題は明快な解決をみていませんが、

心霊学徒は常にできるだけのことをしなければなりません。そうでないと、その時に至って速やかに対応することができなくなってしまいます。

その時がいつかは判りませんが、その時のために準備すべきなのです。

つまり学問として体系づけ、サイ科学や超心理学などの周辺学問との独自性を明確にする必要があるのです。


先ず旋問に思うことは、現時点で物理的実証を伴わないのに、数学の理論を使うことにどれはどの意義があるのかということです。

私達は体験や霊能者の話等により心霊についてそれなりの認識をもっていますが、心霊現象とはいかなるものであるか言明することができません。

例えば、トリックのない霊の物質化現象があったとして、それが人の形をしているからといって、本当に霊によって起こされたものなのか、

あるいは霊自身なのか断言しにくいでしょう。つまり、物質化現象があったとしても、それは単に不可思議な現象が起きたことを証明しただけであって、

霊魂の実在を証明したことにはなりません。なぜなら、心霊現象とはどういうもので、なにをもって心霊現象というのかはっきりしていないからです。

私達は心霊科学といいながら、研究対象である心霊についての科学的基準を持ち合わせていないのです。

にもかかわらず、漠然とした希望的観念論によって五十年やってきたのです。これは現象としての事実と、その裏にある本質としての事実を見極めずに、

思い込みで結論を求めてしまったことに原因があります。霊魂の存在が証明できないことを、物理学の定義域だけのせいにしてはいけません。

 科学者がある現象についてデータを集積し仮説を立てる時に数学を用いる理由の一つは、それが有用な道具になるからです。

数学の理論を使うと、複雑な思考作業を回避して少ない労力で問題の解法を予想することができるのです。

もう一つの理由は、現象の予想だけでなく、人類共通の言語になりうるということです。数学者は宇宙でも通じると考えています。

宇宙のどこかに宇宙人がいて考える力を持っているなら、きっと私達と同じ数学的認識を持つと主張しています。

 集まったデータを数学的に解釈することを数学言語を使うといいますが、数学言語の使用は自然科学だけの特権ではないと思います。

 








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