「心霊研究」1998年4,5月号掲載
類魂論の考察 物霊と宇宙のカタストロフィ−
*物霊と宇宙のカタストロフィ−*
物霊とは何なのでしようか。それに付いて、これまで述べてきた、カタストロフィ−のシステムによって宇宙の一部が出来ている事を考えながら説明しましょう。
私は先に類魂全体を一つの生命であると考えていると述べましたが、宇宙の始めの時はどうだったのでしょうか、その時類魂は在ったのでしょうか。
もし宇宙の始めの時に生命では無かったとしたら、類魂も無かった訳です。宇宙が物理的物質から始まったとしたら、この私達も物理的物質であると結論付けられてしまいます。
仏教思想は宇宙をその様に認識した為に霊魂は存在し無いと考えてしまいました。私達はこの宇宙の全ての者は霊的存在であると言う仮定の上で話を進めているのです。
つまり宇宙は始めから霊なる者であって一つの生命であるから、当然類魂によって形成されていると結論するのです。
地球は宇宙の縦の類魂と周辺に在った横の類魂によって生まれました。人間の場合と同様に考えると宇宙の縦の類魂は、宇宙の前生となり、
宇宙の過去の業がこの地球を誕生させる原因になっているのです。では物霊は何時どの様に発生したのでしょうか?
私達は心霊学徒として宇宙はその始めの時から霊的存在であると認めるものであります。その霊的存在とは、先に述べました近傍を認めたカタストロフィ−多様体のことですが、
近傍を認めるだけでは霊的存在とは言え無いのでありまして、カタストロフィ−にならなければ霊とは言えません。
そしてカタストロフィ−を特徴付けているものが、選択性となって働く分裂要因ですが、それは前世からの業(守護霊が浄化仕切れなかった業、それを人間が選択性として受け継ぐ訳です)
が現れたものです。それが物霊の本態なのです。
大霊の目的は諸霊を統一し浄化する事ですが、宇宙の始めの時、既に大霊は存在していたのです。
言い換えると、宇宙の霊的側面としての類魂のカタストロフィ−は始めも終わりも無い不滅のシステムなのです。そのシステムに於いて業を再構築し、統一するのです。
ですから宇宙の選択性を考える時、宇宙の前世は当てはまりません。人間は守護霊が在って自分が在りますが、宇宙全体を観た場合、宇宙は始めから一つの存在者であって、そして活きているのです。
選択性は自己にストレスが生じ、統一ある行動が出来なくなった時に働きますが、宇宙の場合も同様に考えて宇宙もストレスが生じると選択性が働くと思われます
(唯一の存在者である宇宙大霊には、厳密にはストレスはありません。自ら意図して選択性を働かせるのです)この宇宙の選択性が物霊として人間に作用するのです。
小山先生は、物霊は「物に付く気の様なもの」、「物に宿るもの」、又「神の心と力が一つになって物質になり、その物質を創る力を物霊と呼ぶ」と仰っていらっしゃいますが、
私は宇宙全体の類魂の浄化と言う観点から物霊を捉えて行きたい、それが転化です。
鉱物、植物、動物、人間がそれぞれ利用し合う事で未発達霊を浄化して行こうとするものです。この転化をカタストロフィ−で考え直して見ましょう。
これまで述べた事を思い起こすと、物が沢山集まると(それを集めると言う行為と解釈して、業が増殖すると考える)、選択性が働くので行動の範囲が限られるのであるから、
その中で物が集まるのですから逆に足りなくなる所が出来てしまうのです。そうすると又足りない所に物が集まって、今まで集まって居た所は少なく成ってしまいます。
ですから物が出来るとそれに相対する業も形成されているのです(おくれの法則)。そして転化とはマックスウェルの法則なのではないでしょうか?
類魂が鉱物→植物→動物→人間→大霊へと、大霊と言う一つの極大に向かって統一されて行くのです。
つまり物霊の意味は、業の集積、それに相対する業の形成及び転化と言うシステムが一つになって物霊となる訳です。これは正に選択性そのものです。
従って物霊は、宇宙全体の類魂の浄化を考えたとき選択性として働く要因であって、この現界の現象全てに作用する、隠れた力であると言えるのです。
物(鉱物)は情報量が少ないので、それだけその働きが単純な為に物霊の特性が判り易かったので、「物に付く霊」として理解出来たのです。
宇宙は始めから一個の生命であったのですが、その宇宙が自己を拡大し諸霊を統一するということはどの様な事なのでしょう。
活きている個体の最も顕著な特徴は生命現象を自ら引き起こす能力を持つ事です。それは全機性の意味でもありますが、他の物理現象にも当てはまる様に言い換えた言葉が自己組織現象です。
宇宙は活きていると何度も繰り返しているのは、宇宙は、この自己組織現象によって自ら生命現象を起こしているからです。
宇宙の霊的側面から観た自己組織現象とは、類魂という情報を自ら創りだす事で自己を拡大する事であると考えられます。
この自己組織した類魂の量が平常要因bになります。図16は宇宙のカタストロフィ−のグラフです。宇宙は元々一個の生命として完成していたのですから、状態はロの状態に在ります。
ロは選択性が働いていない完全に統一のとれた状態ですが、ここに止まって居たのでは大霊の崇高な欲望である自己の拡大は果たせません。
宇宙自身には業は無かったのですから、bの拡大する類魂達も業を持って居ないのです。それならロに居るだけで良いのではないかと思われますが、
bの類魂の一つ一つは独立した生命でも在るので宇宙がロの状態を保つなら、イの所の未発達の類魂達は永久に赤ちゃんのままで生き続ける事になります。
そこで、未発達の類魂達を統一し救い上げる為に、下への自己の拡大を試みるのです。
ではどの道を辿ると良いのでしょうか。イからロへの道のりは想像を絶する程遠いものでそれは殆ど不可能なのです。
一番簡単な方法は選択性を強くして、ロ付近の類魂を沢山自己組織して「幽」の領域の業を増大させるのです。そうすると、もっと選択性が強くなって「幽」の部分が極大になり、
行動変数はイからハへカタストロフィ−・ジャンプするのでイに居た未発達霊達は、そっくりそのまま幽界に入ってしまいます。(図16)
しかし依然として選択性は強いままなので、相対する業である「物」の領域も段々大きくなり、行動変数は「幽」の領域になり統一された様に見えますが、それは一時的なもので、
選択性が強いのですから「物」の領域が極大し、ロからニへジャンプしてしまいます。このロ→ニの変化は物質化を意味していて、物質の最小単位や宇宙創造の元になる熱が一気に生じるのです
(一般に言うビックバン)。小山先生の言う物霊は、この時の物質の最小単位と宇宙の選択性を合わせて考えたものです。
しかしこの物質の最小単位は自分自身の力で、救われる事が出来ないのです。
宇宙は既に完成されている一個の生命だと述べましたが生命とは、存在者とは、全機性を保ち、自から生きる為の情報を創り出す自己組織能力を持つ者のことです。
イの所の宇宙の最下級の 類魂達はこの様な力を持たないのです。物質の最小単位なので、その情報量も最も少ない為に、自分の力では増殖する事は出来ません。
ですからおくれの法則が現れ無いので選択性が働か無い、つまりニの極大を維持出来なくなりまたイに戻ってしまうのです。ジャンプの道を辿ってハに行く事が出来ないのです。
また「物」の最小単位は地球の場合の様に、身を削って借りを返す事も出来無いので、このままの状態ですと物質の最小単位達は自分の力では、選択性が機能出来無くなり、
何時までもイの状態のままなのです。(図17)
ではおくれの法則を働かせるにはどうしたら良いのでしようか。そこでまた、先に述べてきた様に業を増殖させることを考えます。
宇宙で最も下の類魂は物質の最小単位なので自身では増えることは出来ません。それでも増殖を考えるとしたら、どんどん集まり固まって大きくなると良いのです。
自からが増えなくても同じ物同志が集まって増大すると言う方法です。そして状態は、イが少し増えると、又一気に増大して図16の状態に戻りますが、
これは新たな物質化を意味していて始めの段階で救い切れなかった、宇宙で最も下の類魂達を救う為に業の再構築をするのです(この業の再構築は再生に関係するそうです)
そしてこの過程で地球が創造されて、地球大霊のカタストロフィ−が始まります。ニの所は「幽」に対して、物質化すると言う意味があります。
宇宙が統一されたロの状態から「幽」を大きくしてジャンプし、「物」を創造するのです。この時の「幽」は大霊がその御心を大きくしたものなのです。
それに選択性としての物霊が作用して「物」が出来るのです。
大霊の御心とは全ての霊的存在を浄化する事で、その為に自己を拡大しょうとするもので在ります。ロからハ、ジャンプしてニという道のりは「幽」から
「物」へ物質化が起こることだけでは無くて、自己の拡大という意味に於いて下への自己の拡大と言えます。ロは宇宙で最も上の類魂です。
そこからジャンプの道のりを辿って宇宙で最も下の類魂イへ向かい、そして今度はイを出発点にここの類魂達をロへ統一し救い上げるのです。 それではこの項をまとめましょう。
・始め宇宙は統一のあるロに在りましたが、一気にハに極大する事でイの未発達の類魂をハにジャンプさせる(図15)
・選択性が強いので「幽」に対して「物」の領域が大きくなり、ニにジャンプする。この場合はビックバンに相当する
物質化と考えられる(図16)
・しかしこの時出来た物質の最小単位は、自ら行動出来ない為に選択性が弱くなってしまう(図17)
・ 同じ「物」同志が集まる事で選択性を強くして、又ニに極大し、この時地球が生まれる(図16)
そこで、宇宙全体の類魂の浄化を行動変数xとしたカタストロフィ−は自己組織した類魂bを平常要因とし、その選択性である物霊bを分裂要因としたカスプのカタストロフィ−で与えられる。