悪魔の道具にならないために


人間の本性は、悪なのでしょうか、善なのでしょうか、昔から議論の絶えない所です。

私の背後霊の中に、ユダヤ人の先生がいます。この霊は、第二次世界大戦で、収容所で亡くなりました。

誰もが知っているナチスによるユダヤ人の虐殺です。この先生は、死にいたるまでの数ヶ月間は、

言語に絶する凄惨な体験をしています。最後は、ナチスの将校に射殺されたのですが、

その時の体験もはっきり覚えているそうです。戦争が終わって、六十年以上経ち、

本人自身も浄化しているので、もうドイツ人には恨みや憎しみは無いのですが、

自分を殺したナチスの顔は、今も記憶にあるのです。そのナチスの将校に霊界で出会う機会がありました。

先生は、また自分が死んだときの場面を思い出しました。銃口を向ける将校の姿は、正に悪魔そのものでした。

その将校は、何の感情もあらわさず、何のためらいもなく、あっさりと引き金を引いて、先生を殺しました。

その氷のように冷たい態度に「この将校は人間ではない、殺人マシーンだ、悪魔なんだ」と感じたのです。

どうせ処刑されるなら人間らしい扱いをされたかった、悪魔には殺されたくなかった、と祈りました。

先生は、出来るなら、将校には会いたくはありませんでした。相手も、他界後しばらく経っているのですから、

もう向上して、普通の人間に成っていると予想されます。でも、会って何を語り合うのでしょう。

守護天使の取り計らいなので、仕方なく将校が来るのを待ちました。

何かが近づいてくるのを感じ、その姿を確認しました。その人物は、40代の白人の男性で、

あの時の将校とは全く別人のようです。その人物が言います

「私は、生前は作家活動をしていました。ナチスによるユダヤ人の虐殺についてずっと調べていたのです。
 
 貴方の事も資料の中にあって、知っていました。何故か分かりませんが、ずっと貴方の存在が気に係り、

 貴方の経歴について調べていました。他界後、守護天使にお願いして、貴方本人に会わせていただけるよう頼んだのです」


そこで、先生は、守護天使から、思いもかけない話を聞かせれます。それは、こういうものでした、

ナチスの将校はその数年後、南米で病気に罹りなくなりますが、この人の魂は、高潔な前世があり、

本来は、情け深い愛のある人物だったのですが、あの時代に生まれたために、

その愛のエネルギーを戦争と言う悪の力に奪われて、善の心が麻痺していてのです。

将校は他界後、自分の人生を深く反省して「一刻も早く生まれ変わり、ユダヤ人に償いたい」

と決意したのです。その意志を神が受け入れれて、この将校は、ユダヤ系のジャーナリストに生まれ変わり、

ナチスの戦争犯罪と戦犯を生涯掛けて追及するという人生を与えられました。

そして、他界後、前世で自分が殺したユダヤ人と再会したのです。


元ナチスの将校とユダヤ人の先生は、互いに顔を見合わせました。そこで二人はもう一つの真実に気がつきました。

二人は魂の兄弟だったのです。

「これは悪魔の仕業だったのだ。人間は神の子、悪魔であるはずが無い。戦争が人の魂を曇らせていたのだ」


高貴な前世があり、魂に高い部分があっても、人間として生まれると、弱いものなのです。

いつも相手を思いやる、スピリチュアルな気持ちを持てば、悪魔の道具にはならないのです。




















   
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