「心霊研究」1998年4,5月号掲載



          類魂論の考察 近傍と連続性




 

                   近傍と連続性について


 点0から出る光によって、点Pの影が点Qに写ったとします。これを 写像といいます。

この時、点Pだけが点Qへ写っただけでなく、その周りの点も同じ順序を保って点Qを含む円周上へ写るはずです。これを近傍を定めるといいます(図11)



 


次にxからyへの写像を考えてみます。Xからyへの点X0での現象が途切れず連続することを説明すると、正数mを取り、点f(X0)のm−近傍(f(X0)−m,f(X)+m)作ります。


このmに応じて正数nを少し小さく取りX0のn−近傍(X0n,X0+n)を作ると、集合xの点xがX0のn−近傍にあるとxのfによる写像f(x)はf(X0)の時、

n−近傍に含まれます。この時、y=f(x)はX=X0において連続するといいます。つまり、近傍の存在を確認することで

現象の連続性がより確実に保証されているといえます(図12)
(『現代数学小辞典』岩波書店)

「霊」も類魂の概念を明確にすることによって、同様の説明ができます。「心霊研究」誌一九八〇年五月号の「類魂」第4図は、

転化によってしだいに大きな霊になってゆくことを示したものですが、霊を一つの集合と考えますと、類魂の一つ一つは部分集合となります。

そして、各類魂の部分集合の中にもたくさんの類魂の部分集合があり、無限に続いてゆくのです。

すなわち、ある霊の中には類魂の部分集合が隙間なく詰まっていて、どんなに鈍い刃物で切っても必ず一つの類魂にぶつかる状態とたとえられます。

この様相は、実数の連続性に符合しています。霊の中の類魂は、実数における近傍と同様の意義を持っていると考えられるからです。


 物理学といえば数学のイメージが定着していますが、数学は物理の道具ではなく、もともと存在論なのです。

私達の心もそうですが、心霊というものは観測者に対立する者としての運動者ではなく、存在者なのです。

心霊科学は存在者を扱う科学なのですから、それに採用される理論も存在者を認めるものでなければなりません。


 以上述べてきた事柄によって、前述のカタストロフィー理論に近傍の存在を積極的に認めることにより、

私達は存在者(心霊)のための数学理論を手に入れることができたのであります。             (以下次号)









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