「心霊研究」
1998年4,5月号掲載


 

 

          類魂論の考察 選択性


 

 
     *選択性 1*


 自己を拡大するということは霊的存在の目的ですが、それは横の類魂である、他者というものの数を増やすことです。

婚姻や誕生によって家族や親族が増えたり、社会的活動などを通じて友人との交流を深めて人と人との繋がりを増やして行くことです。

つまり自己の中に他者を組み入れるのですが、その入って来る人々はそれぞれ独自の全機性を持って自己の中に入ることになります。

自己を拡大する為に受容した他者なのですが、その他者自身が持つ全機性が小さ過ぎると、

それが自己にとってストレス(守護霊のコントロ−ルにとって障害)となってしまう。自己は横の類魂から入って来る全機性の手掛かりの、全ての集合をXで示します。

守護霊からのコントロ−ルが上手く行かなくなるとXにある全ての手掛かりを扱うことが出来ないので選択性が働いて、

手掛かりのある一貫した部分集合Aを選択してこれだけを自分の考えであると思い込んで受け入れますが、

残りの部分であるAの補集合Bには全く関心を持たなくなってしまいます。この様に全機性の手掛かりの集合Xは二つの部分集合AとBに分割されてしまいます。

Xを最も簡単にAとBに分けるにはどうするとよいか。図4の様に三つの可能な場合が考えられます。

 




イでは全機性の手掛かりが小さい方へ、全機性の手掛かりが大きな方よりもより多くの注意が与えられています。

ロでは逆に全機性の手掛かりが大きい方に注意が多く与えられています。ハは中位の手掛かりに注意が与えられています。

この三つの中でちょっと考えるとハが良いと思われますが、しかしハとロでは集合AとBの境の点が一つであるのに対し、ハには二つの点があります。

自我の下方中心が即座に行動しようとするなら、ハはイ、ロに比べて二倍の手間が必要なので、より楽な方を選びたいということでイかロが選択として

適していると考えられます。
この様な訳で図4の確率分布は、イかロの選択性によって左か右へ図5の様にずらされるのです。

つまり図2で極大はX=X0にあらわれますが、これが図5でX1かX2へとずらされる。




この図5二つの実線のずれている分布を一つにすると図6になります。これは自我の下方中心で業情報が自動的に統合された結果なのです。

この統合の過程には二つの段階が有ります。



〔一〕自己内に入って来た類魂(業情報)の集積と重み付けそして同時に選択を行います。 

 

〔二〕この二つの極大X1とX2とのどちらか一つを選びこれを行動の手掛かりとして自我へ伝える。


しかし

X0=b(守護霊のコントロ−ル下にある正しい行動)

X1<X0<X2

なので、X1とX2のどちらを採っても守護霊から見ると間違った行動であると言える。

今、守護霊が横の類魂bを救いなさいと自己に組み入れるとします。自我は、X1を取ります。X1は図4でイのAの部分にあたります。

ですからその行動の手掛かりは全機性が小さい状態なのです。この状態は心の中に自分しか居ないのですから、

そこに他人が入って来ると、独善的で自己中心的行動を採ってしまいます。という事は守護霊がa0を助けなさいと要求しても正しく対応出来ないことになります。

「私が絶対に正しいのだから、私に従うなら面倒を見てあげる。」と支配欲が出てしまいます。

それでも更に守護霊がa0を救いなさいと厳しく要求するとa0が助かるまで、無理に行動を起こそうとします。

当然その時のa0に対する行動は実際にはX1>X0となっています。



逆に自我がX2であったならこの場合は、心の中で「どうして私だけがこんな人の面倒をみなければならないのか、損だ」

と思いながら嫌々行動している状態X<X0であるので突然何も行わなくなってしまいます。


これは守護霊から与えられた修行を放棄してしまう事なのです。ボランティアは他の人の為に無心になることですが、

それに選択性が働いた時、我が出てきて、その過大行動とは他人が、自分よりも低く見えてしまう、つまり他人を過小評価して独善的行動を採ること。

過大行動とは逆に他人の方が自分より良く見えて過大評価し、被害者意識を持った責任転嫁的行動を採ってしまう事にします。

(ある状況の元でこの過小、過大と、現象が両極に分裂する事がカタストロフィ−理論のポイントです)

 この様に行動が過大になったり過小になったりする現象は、いま自分が行っていることが類魂b0の近くにあるとその手掛かりが広く分布して選択性が働き易くなります。

つまり守護霊がa0を救うことを厳しく求めれば求める程、顕著に現れてくるのです。選択性が働いていると(これは縦の類魂からの消えなければならない業なのですが)、

本当はもっと思いやりを持って行動しなければならないと思っていても、「嫌、私が見たところもうこれ以上手を貸す必要は無い。」という一人よがりな気持ちが出て来ます。

でも守護霊は助けなさいと要求するので心の中で葛藤している状態なのです。これに反して自己内に入って来る類魂が明らかに少ない場合は,

対応が楽になるので行動は過小状態で独善的行動をとっても差し支えはありません。助ける人が少なくて楽に対応出来るのでそれでは面倒を見て上げましょう。

と高慢にはなっていますが、選択性を働かせて無理に行動を起こさなくても、充分に自らをコントロ−ルすることが出来て、一つの極大を正しく選択します。

同様に横の類魂の数が多き過ぎる場合も、明らかに自分の手には余ると考えて、行動の手掛かりは、迷わず過大を示します。


以上の説明をまとめたものが図7です。これは守護霊との間にストレス(横の類魂業の増殖によって限られた縦の類魂の業だけが繰り返し現れる為に、

より上位の守護霊からのコントロ−ルが及ばなくなる状態)が生じて選択性が働き、全機性ある行動即ち自他共に生かし合うという

守護霊からのコントロ−ルが充分に出来なくなった状態を示しています。またこの図7は守護霊からのコントロ−ルが円滑な状態の図3に対応しています。

横の類魂が守護霊によって嫁せられたb0の近くにあるときの手掛かりの分布は図6ですがX1とX2の二つの極大を持っています。

これは図7の通りb=b0の近くでは二つの値X1とX2がその手掛かりになっていることを示しています。

X2のある曲線は過大行動の線で、そしてX2ある線が過小行動の線です。




またこのグラフでは関わっている横の類魂が非常に少ないか、多過ぎるときにはその手掛かりは一つの値しかないので、図3の正比例のグラフに近い形になるのです。


守護霊の命によって助けなければならない横の類魂は、自分とはそれ程離れた人ではありません。多くは家族や友人であり身近に接し過ぎる為に、怠け心が出てしまい

「この程度で良い、大目に見なさい。」と、その様な心の迷いがこのb0付近で起こります。選択性である縦の類魂からの業が働き易いからこそ家族になっているのだから、

先ず家庭に目を向ける事ですが自分の身近に居る人だとかえって我が出てしまものです。だからこそ障害を持った他の人の方がボランティアし易いのかも知れません。




 

*選択性2*


 守護霊と自己の間にストレスが生じて選択性が働きますが、このストレスに付いての考えをまとめると、地球大霊の目的は全ての霊的存在を統一することです。

その為に自己は横の類魂を取り込みますが、この横の類魂達もそれぞれ選択性を働かせます。この選択性は他者の前生の業が統合されたもので、

それが自己の中で段々増えてしまいます。同じ業が増えると、それに対する自己の行動も同じ事が繰り返されることになります。

同じ事ばかりやって満足していたのでは、より良い全機性を行う事は出来ません。そこで守護霊との間にストレスが生じてしまうのです。

(増えつつあるときは業でそれが守護霊との間の障害になるとストレスと言います)

 


 横の類魂が入って来る

    ↓

 業が増えてストレスが生じ、守護霊のコントロ−ルが障害されてしまう

    ↓

 縦の類魂が持つ業が選択性となって現れて守護霊のコントロ−ルに代わって行動しょうとする


 

自己の中での縦の類魂と横の類魂の関わり方は大体この様になります。次に自己に於ける業は如何にして形成されるのでしょう。

これまで述べたことをまとめてみます。それは三つの段階が考えられます。

 

〔1〕前生から分かれるときに人間は業を持たされる。縦の類魂の持つ業、それが選択性の本態と考えられます。


〔2〕人間が現界に生まれるときに前生から下された業に応じて現界の両親が選ばれますが、この選ばれた両親は人間として生まれた自己が組み入れる最初の横の類魂であり、

   この両親が抱えている類魂の持つ膨大な量の業情報も入って来る。その業情報に選択性が働いて誕生する時の境遇が決まる。

〔3〕人間が成長して自分の意志で自己を拡大するときに横の類魂としての他者によって入って来る業。


 

これ等、三つの各段階を通じて注視しなければならない事は先に述べた様に、業は増殖するという事なのです。

社会に於いては同じ業を持つ者が集まるし、個人の心の中でもクヨクヨと同じ事ばかり考え続けてしまいます。

これは業のコピ−、増殖です。同じ業ばかり増えるとそれに対応する縦の類魂も同じレベルの縦の類魂しか現れなくなってしまい、

御親ノ神から自己へ通じている全機性の流れが妨げられてしまいます。カタストロフィ−で選択性が働くとき、その選択には二つの法則があります。

一つはマックスウェルの法則と言われるものです。図8、9をご覧ください。





図の中の矢印がX1かX2の何方か一つをしめしていますが、これはX1かX2の何方か類魂の数が多い方の行動を採るという意味です。


もう一つはおくれの法則です。図9をご覧下さい。

この図の矢印はX1とX2、二つとも示していますが、これは類魂の数の多さに関わらずX0の谷を境にしてX1かX2の行動を採るという選択です。

横の類魂によって入って来る業は、同じ者が急速に増える性質がありますが、これはおくれの法則に一致するのではないかと考えられます。

それは、自己内に業が増殖する初期の段階でX1かX2の何方か自分に近い方、つまり楽な方を採って行動するのですが、

やがて業が増えてくるとマックスウェルの法則に従って何方か一方の最大値を与える方に向かうのです。

その状況の変化は突然起こるのでカタストロフィ−・ジャンプと呼ばれています。

これは始め、自分の望むままに事が運んでいたのですが、一方で相反する業も溜まっていて一度に付けを払わされたという状態です。





*選択性 3*


 人間は守護霊が修行し切れ無かった未浄化部分、つまり前生が持っていた増殖した業の塊が実体化したものでありますが、この業を消す為に人は生まれて来るのです。

自己を構成する類魂の数は膨大なものです。何しろ宇宙が始まって以来の業の集積なのですから

(この宇宙の奥の奥からやって来る業が物霊と言うそうです、これは後で説明致します)

選択性は縦の類魂によって下された業をさらに増殖させる様な業を持つ横の類魂を選ぶ働きがありますが、それがおくれの法則です。

またこの現界では業はある限度に達すると突然状態を変えるという性質があって、それがマックスウェルの法則です。

霊界ではおくれの法則が強く働くので、浄化した者はひたすら神へ向かい、未浄化の者はただ落ちて行くだけで交わることはないのです。

マックスウェルの法則による業のやり取りが必要なのです。その場が人間です。類魂達にとって人間は現界そのものと言えます。

この様に選択性という存在はただ単に業を増大させるだけでは無くて、最終的には類魂全体、宇宙全体を浄化し統一する目的を持つと考えられます。

 今一度、選択性が働いている人間の様子を詳しく見てみます。全機性は判り易く言うと、他の人を思いやる心ですからそれが損なわれる事は

その反対のこころである利己的で独善的な心を持ってしまうこと(選択性一で述べた、過小状態)です。

独善心のままの人に、守護霊が横の類魂b0を助けなさいと嫁したとします。B0が自分の言う事を聞いている間は優越感や支配欲

(これは縦の類魂からの下級な業の現れ)が満足出来るので喜んで手助けをします。


やがて序々にb0自身が持つ業が現れるので、この面倒をみる事が嫌になってきます。それでも尚、守護霊はb0を助けなさいと要求し続けるので、

自我は業の現れである支配欲をもっと強くしてb0を抑え込もうとします。

さらに「私はもっと沢山の人を救える立派な人間なのだ」と、自己顕示欲も強く出てしまうのでb0だけでなく、もっと手の掛かる類魂にまで独善心を向けてしまう。

その行動の手掛かりは図7の点Qでしめされる。


しかしX0で示した点より、まだ手掛かりは独善心のままです。

その為に縦の類魂からどんどん下級な業が出て来るので、もっと独善的行動を採ってしまいます。B>b0になると確率曲線の極大は一つになります。


これは図6で説明したシステムが直ちに行われて一気に点Q`を行動の手掛かりにしてしまう。





この様に受容する横の類魂の範囲がb0になるまでは、手掛かりは過小状態、即ち独善心の線に沿って連続的に増大しb0になると

突然、点QからQ
´へカタストロフィ−ジャンプして今度は過大状態の線に沿って行動します。

このジャンプは図6で述べた統合過程、〔1〕選択機能、〔2〕行動の手掛かりとして自我へ伝える、という機能が共に即座に起こる為に、

突然行動を変えてしまう。自我はb0になるまでは本来の意味の奉仕でないにせよ、何とか他者の面倒を見ようとします。

Qになる直前では、選択性が強く縦の類魂の業がどんどん出て来ます。業は自己主張の塊なので自分の非を認めると言うことはありません。

その現れである自我も自身を反省する事無く、自分に従わないb0達が悪いと考えて責任転嫁してしまい、もっと選択性が強いときは被害者意識も出てくる。

そこでQからQ`へジャンプして過大状態になり自信を失って、人を助けることを突然止めてしまうのです。

そして守護霊によって嫁されたb0を放棄してb0以下に下がってしまいます。


しかしb0はまだ助けられていないので守護霊は「しっかりしなさい」と催促するので、すると行動の手掛かりはRからR´へジャンプして

「ああこれではいけない、しっかりしなければいけない」と、また人助けをする事を考えて始めの心境にもどります。

実際に日常生活でこの様なことはよくあることです。疲れている時や時間が無くてイライラしている時など¨早くこれを済ませないといけない、

でも面倒だから嫌、だめだやはり早く済ませよう¨と心迷ってしまう。選択性が働いて類魂の業が出て来る為です。

この様に選択性が働いて行動に迷いがある状態では、QからQ´へ、RからR´へ、そして又Qへと、同じ事を繰り返してb0をきちんと助けられない事が判ります。

選択性が働くと業が次々と出てくるのですが、その都度、守護霊からの全機性を強くして統一して行く事が人間の勤めなのです。

今まで述べて来た事を考え合わせて、図3と図7を一つにすると次の図10になります。







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