「心霊研究」
1998年4,5月号掲載



 

 

          類魂論の考察 類魂の全機性



 

 

   *類魂の全機性*

私の手元にある生理学の本によると、


 「個体が多くの器官から成り立つ統一体として自己を維持する機能は、その全体と部分の関係に於いて理解される。

全体は単に部分の寄せ集めでは無く部分によって規制され、部分もまた全体によって規制されるという相互関係がある。

機能面から考えてこの全体性を全機性と呼ぶ。」


 

私は類魂全体が一つの生命であると理解してこの全機性という機能が、類魂論に於いても当てはまると考えています。

自己が有ってその中に前生からの良い心、悪い心つまり、業が投影され、その投影された心が横の類魂へ働きかけて行く。

この良い心、悪い心は相対的なもので自己と横の類魂にとってより良い行動を考えるなら、善悪で考えるよりも、自分も他者も共に生かし合える行動、

共に浄化し合える知恵ある行動が相応しいと考えられます。この共に生かし合える行動のことを、類魂に於ける全機性ということにしましょう。

当然この全機性が大きいことは守護霊からのコントロ−ルが円滑と言えるし、逆に小さいことは低級霊の影響が強くなっていると考えられます。

これは自己内での守護霊からのコントロ−ル機能にストレスが生じていて、それを業ということにしていますが、業は自己に於ける全機性ある行動を妨げてしまうのです。

私達は自己を拡大する為に横の類魂としての他者を組み入れるが、その他者も独自の業を持っていて、他者との関わりが多くなればなる程、

自己の中に入って来る業も大きくなりその業が大きくなり過ぎて扱い切れ無くなるとそれに対し自動的に縦の類魂からの業が現れて来て、

横の類魂の中からある一定の範囲の一貫した業だけを選択して、その他の業は扱わなくなる。その働きを選択性ということにします(執着ともいう)。

そして自己は速やかにこの一塊の業の部分集合が全部であると思い込んで行動してしまう。この様な選択による部分的業情報から成される行動は正しいものではありません。


 

 ・業情報・

情報とは一定の選択の可能性が与えられているときにその選択を決定させるものつまり選択肢のことです。

まさに、自己にとって業は選択肢である、そこで業情報ということにしました。

 ・業は増殖する・

私は、業は細胞分裂の様に増えると考えています。たくさん在る横の類魂の内、同じ業を持つ者だけがどんどん集まる状態で「類は類を呼ぶ」ということ。

その結果縦の類魂も同じ業しか現れないことになります。それはより上位の守護霊からのコントロ−ルを障害(ストレス)してしまうと考えられます。

これが、業が守護霊の加護を妨げる理由と言えます。

 

ここで今まで述べてきた事をまとめると、

一.自己は前生(守護霊)が消し切れ無かった業を現す場です。それは自己を拡大すること、即ち、横の類魂を自己内に組み入れることによって成される。

二.守護霊の自己に於けるコントロ−ルが円滑な時は横の類魂に対して常に全機性ある行動を保ことが出来る。

三.守護霊と自己との間にストレスが生じたとき選択性が発動し、全機性ある行動が取れなくなる。そのストレスは同じ業が増大し過ぎる為に生じる。


 

   *全機性の手掛かり*

私達は普段、守護霊や高級霊を認識することは出来ないしどの様にしてこれ等の霊達が私達に関わっているかと言うことも知らずに暮らしています。

しかしこうして生きているということは間違い無く守護霊からのコントロ−ル(加護)を受けているからなのです。

また、私達は守護霊を知ることは出来なくても、恐らくこれが守護霊からの高級な心なのだと考えて自分の意志というもので実行する事が出来ます。

つまり一々これが守護霊さんの心なのだと確認しなくても、自分の意志でこれは善い事あれは悪い事と判断しながら、多分これが守護霊の心であると

考えられる行為を行う事が出来ます。この様に自分の意志で多分こうだと判断して行うことを、全機性の手掛かりということににします。




全機性の手掛かりについて例を挙げて説明しましょう。今ボランティアをしょうと思います。ボランティアは社会に対する全機性であり、守護霊からの愛ある心の現れです。

しかし同じボランティアを行うにしても人それぞれ、心の有り様は違っているはずです。それを適宜に大小を考えて図1の様な数直線にしてみますが

実際にはもっと多くの思いがあります。この心の一つ一つが前生からの業で少しずつ自我の中に出てきます。

私達はこれ等の心の中であれこれ迷いながらも社会的に考えてボランティアは善い事だから、取り合えず行うという心に重さを付けます。


自己はまず図2の様な全機性(ボランティア)を判断する心である、前生の業によって、色々な行動の手掛かりに関する確率分布Pを作り上げます。




図2でxに対して確率がP(x)であるということは、ボランティアしよう(全機性ある行動)という心がx0である確率は、

縦の類魂が受容された横の類魂に対し作用した結果P(x)の値になるということです。

そして自己内の下方中心(自我より少し低い心)が直ちにこの業情報を統合しこの分布の極大を与える点X0を選択します。

この値X0は次にすぐ、自我へ全機性ある行動の見積もりとして伝えられる。ここで次の二つの事柄が行われていることが判ります。


  

(一)業によって重みを付けられた心は図2の様な確率分布Pとして示される。  

(二)その後図2は統合過程によって分布の極大X0が見出される。


もしここに背後の整理が出来ている人がいて、類魂内に守護霊の全機性を妨げるものが無いとすると自己の全機性ある行動と、横の類魂の拡大との関係は図3の様になります。

横の類魂が拡大されればされる程、自己の全機性も大きく成って当然と思われます。

この状態を判り易く言うと心の在り方が広くなって心の中に思う人が増えて、それらの人々の為に何か役に立ちたいと思うこと、愛ある心になることと考えられます。

また、全機性が小さくて横の類魂も小さい場合は心は狭いが、邪気が無く赤ちゃんの様な状態といえます。















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